東京高等裁判所 昭和36年(う)2383号 判決
被告人 石井博
〔抄 録〕
案ずるに、原判決挙示の関係証拠によれば被告人が昭和三五年七月頃原判示第二の一の拳銃一挺を昭和三六年一月頃原判示第二の二の拳銃二挺をいずれも自宅において所持していたことが優に認められ、また被告人が昭和三五年九月一日館山簡易裁判所において売春防止法違反の罪により罰金一万円に処せられ同月一八日同裁判が確定したことも明らかである。ところで所論は被告人は原判示第二の二の拳銃二挺は少くとも昭和三五年八頃以降所持していたものであり、しかして拳銃所持違反は継続犯であるから、その中間に確定裁判があつても同裁判前の違反行為に吸収されると解すべく、従つて原判決が前示昭和三五年九月一八日の売春防止法違反の罪による確定裁判後の拳銃所持違反の事実を認定し、これと証人威迫罪とを併合罪として処罰したのは法律の適用を誤つたものであると主張するのである。
よつてこの点につき考えてみるに、原判示第二の二の拳銃二挺は少くとも昭和三五年八月頃以降被告人がこれを所持していたことは所論のとおりであるが(但し昭和三五年八月頃から同年一一月頃までは隠匿のため罐に入れ石井一枝に保管を託した)、拳銃不法所持の犯罪はいわゆる継続犯として一罪であり、不法所持の継続の終了の時が犯罪終了の時と解せられ、不法所持の継続中に他の罪につき確定裁判があつても、その罪と刑法第四五条後段の併合罪とならないから(最高裁判所昭和三一年(あ)第二〇一八号、同三五年二月九日第三小法廷決定、集第一四巻第一号八二頁)、原判決が右拳銃二挺の不法所持を前示確定裁判後の一罪と認定し、これと原判示第一の一、二の証人威迫の罪とを刑法第四五条前段の併合罪として処断したのは正当である。論旨は理由がない。
(長谷川 白河 関)